2011年1月7日金曜日

操縦士道/その4 奪われたヒーロー役

おはようございます。
今日は冷え込みが厳しく、福島は雪降りです。


では、前回の続き。

さて映画で盛り上がったものの、現実はそこにあります。
全く目立つ事の無い中学生にとって彼女をつくるなどという事は、夢のまた夢の先の妄想の果てにあり、とりあえずはサッカー生活です。

サッカーの部活に戻れば、相変わらずチビで補欠となり、すっかり腐っていた自分はそのままです。
当時、部活顧問の先生は大変熱心に指導してくれたのですが、元陸上選手。
サッカーの事などまるでわからない様子で、ひたすら走りまわされました。

当時、サッカー部には私、A君そしてB君と3人のチビがいましたが、全員レギュラー落ち。
サッカーのわからない先生が身長でレギュラー選びをしていると、3人ですねて愚痴を言い合っていました。

この様にして自らをガードする事で、自らが傷つきすぎないようにガードしていたのでしょう。
この様なケースは、大人の世界でも頻発しますが理論的に巧妙になっていくため、自らを振り返る事が難しくなり、かえって始末が悪くなるケースが多いような気がします。

ただこんな状況の中、A君だけは練習をひたすらに一生懸命つづけていました。
私とB君はすっかり腐り果て、身長や先生のせいにして逃げ続けました。


しかしトップガン以降、女性教官と恋に落ちるシーンが脳みそを駆け廻っています。
正体不明の妄想が、脳内に刺激を与え続けているからか、モヤモヤと何かしなければいけないような感じがします。
しかし、サッカーは頑張らない理由が見つかっているので、何か別な事ををすることにしました。
そこで思いついたのが、やはりトムクルーズに近づく事。
バイクは無理なので、代わりに自転車(ロードレーサー)に乗る事に決定。
部活の合間に、仲間とテントを担いでツーリングに行くなどして走り回り、一日100km走ることもありました。

この自転車は、色々と理由をこじつけて父に買ってもらいました。
不思議と何も言われる事も聞かれる事もなく、環境を与えてくれました。 
親とはそういう立ち位置にいるものなのかもしれません。


3年生の春になると、自転車の影響で体力がついたのか、部活が少し楽になってきました。
サッカーが、またほんの少しだけ楽しくなり始めたのですが、部活は夏の試合でおしまいです。
時すでに遅く、最終戦ではベンチから試合を見つめるだけの日々。
「今、選手で使ってくれれば絶対に活躍するのに、使ってくれない」と、ひたすらにベンチですねていると、フォワードの選手が試合中にまさかの負傷。
出番か??っとこんな時だけ都合良くドキドキしながら待っていると、まじめに練習を積んできたA君が起用されることに。



そして、試合終了直前に何とこぼれ球に頭から飛び込み、見事に得点。

一躍、ヒーローとして中学を卒業していきました。






(写真はイメージです。)

私はヒーロー役を奪われたと、さらに落ち込む一方。
不完全燃焼で部活を終了し、もう二度とサッカーなどしないと誓うのでした。


時間は常に流れていきます。部活が終了したら今度は受験です。
特に志望校があるわけでは無かったので、どうしたらパイロットになれるのかを調べてみました。
国内では、大卒で大手航空会社(JALなど)の自社養成や自衛隊、高校卒業で自衛隊、20歳以上で航空大学校、自分で免許を取得して写真撮影などの小型機のパイロットになるなどの道がある事がわかってきました。
とりあえず大学に行ける状態にするほうが、将来の選択肢が大きく広がるようだ、という曖昧な感じでしたが、とりあえず勉強に力を入れることにしました。

しかし勉強が好きではなかったので、いまいち身が入りません。
勉強しつつも映画のワンシーンが頭の中を駆け巡りモヤモヤしています。


しかし後日、このモヤモヤが行動指針を変える大きなきっかけとなる「気づき」を起こすのです。


                               つづく。


                   室屋義秀(むろやよしひで)

                   レッドブル・エアレース #31  

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