2012年10月12日金曜日

第三回 全日本曲技飛行競技会 終了


こんにちは。

10月7~8日にかけて開催された、全日本曲技飛行競技会が無事に終了しました。


  
私は、選手としてではなく大会役員そして事務局として裏方を務めさせていただきました。
多くの皆様にご協力いただきました事、事務局として御礼申し上げます。



さて今大会は、昨年から更にステップアップし、中級「インターミディエート」クラスを増設。
国内トップ選手2名が、ステップアップし「インターミディエート」クラスに果敢に挑戦しました。
国内での外国人コーチを招いての訓練や、ハンガリー・フランスなどのヨーロッパでの訓練を経た2名のフライトは、下位クラスの選手とはケタ違いのレベルでした。




そのフライトを審査するのは、5名のジャッジです。
3回にわたる誌上解説に加えて、直前にジャッジスクールを実施し、今年も更にジャッジ陣の層を厚くする事に成功しました。
今後も継続的に実施し、ジャッジ数の増加をしていく予定です。

しかし、インターミディエートクラスになると、スナップロールが入るなど審査をするのも難しくなります。
上位クラスのフライトをジャッジするには、事前に多くのフライトを見る事も重要となり、訓練無しで大会に臨むのは非常に難しくなります。
ジャッジの経験を増やすために、年一回の大会のみでなく、春などに一度トレーニングが必要だ、との意見が出ました。
今後の検討課題です。



今後の組織運営については、大きな進展がありました。
実行委員会として活動してきた組織が、日本曲技飛行協会(仮称)Japan Aerobatic Clubとして結成していく事で、意見交換会の場で皆さんの意見がまとまりました。
今後の曲技飛行の安全と発展を支えるべく、組織の卵が誕生しましたので、私自身も事務局として、さらに汗をかかせていただく予定です。

しかし、実際の現場は人員的に非常に厳しい状況です。
全てボランティアでの実施ですが、膨大な作業に追われます。

多くの意見・要望をいただき、迅速に改善したい思いに駆られますが、限られたマンパワーと資金で行うために、皆さまにご迷惑をおかけしている事も承知しています。
私のモットーは言った事は実行します。言いっぱなしにはしません。
しかし、それを現実にするには、膨大な労力を必要としますので、本当に本気で取り組む人の協力が増えなければ、発展のスピードをこれ以上上げるのは難しいのが実感です。
しかし、これを行った人には真相を深く理解するが故に、真摯で説得力のある発言権が付随してくるのかもしれません。




現在までも膨大なボランティア労力により、大会が始まり試行を含めて4年間継続してきました。
皆さんの想いが大会を創り、今年のアドバンスクラスのチーム結成につながりました。
今後もこの集結力こそが、最強の日本チームを結成していく核となりえると思われます。



大会終了後の9日、朝からゴミ掃除から始まる撤収作業に早朝から追われます。
そんな中、声掛けもしていないのに朝から手伝いに来て下さる方がいます。
「いやー、こんだけ人がいっぱい来たから大変だろうと思ってきたぞー!」っと笑顔でいってくれる懐の深い方々がいます。
言うは易し行なうは難し、なので私もまだまだ修行が必要ですね。



                          室屋義秀

2012年9月11日火曜日

EAC2012(2)


こんにちは。
前回からのEACの続き。

またもや引いてしまった「No1」。
なぜそこまで皆が嫌がるかというと、ずばり点数が低くなる傾向が強いからです。

なぜ低くなるのか?
採点は審判により行われますが、審判は選手やコーチに比べ、審判は曲技飛行を見ている数が圧倒的に少ない場合が少なくありません。
審判の目が調整されていない事が多く、見慣れたコーチなどは、自信を持ってずれやミスを指摘出来るのですが、審判は自らの目を調整する必要があり、最初の数フライトは??を抱えながらの判定になりがちなのです。
そして、Qualificationが終わるころには、すっかりと補正が終わり安定した判定内容となります。
ですから、くじ引きで決まるQの順番で、13番は絶対的に避けたい順番なのです。

最初のフライトは、規定演技(Qualification)として実施され、得点には含まれません。
しかし、ここでの順位で3グループに分けられ、上位グループにいないとその後戦いは圧倒的に不利になっていきます。
ですから、選手は予選といえども、何とか上位を目指していきます。

っとまあ、そんなことはわかっているのですが、くじ引きですからこればかりはそんな事を言っていてもしょうがありません。
パイロットブリーフィングが終わりいよいよフライト開始!という時に雨が降り出し、スタンバイに入りました。
結局初日は、3時間ほどスタンバイした後中止となり、翌日からのスタートとなりました。

Day2、朝一番でのフライトとなるので、ブリーフィング前に飛行場に到着し風向きをチェックし、競技空域BOXの方向を推定。
それに基づいてイメージトレーニングを開始します。
しかし、上空の風向の計測がまだ始まっていないので推測で準備するしかありません。

昨日の雨はあがったのです、ややもやっている状況で視程があまり良くありません。
しかしレギュレーション以上の条件ではあるので、競技は開始はされる模様です。
さらに、高層に雲があり日射がなくて、どんよりと暗い感じ。
こうなってくるとゴールドカラーのエッジは、地十から非常に見にくくなります。

そして、ウォーミングアップと呼ばれる、テストフライトが実施され、その後に競技フライトが開始されます。
ウォーミングアップは、次期パイロット候補が実施するのですが、その時々でレベルに非常にばらつきがあります。
この日は、非常に悪いフライトで、審判の目の補正に全くならないものでした。

そんな中スタートした、Q
フライト内容は、気象状態から若干ソフト目でしたが、悪くは無い出来。
しかし結果は、64%とかなありイマイチな結果でした。

今回、ありとあらゆる悪条件が重なった感じですが、また起こりえる課題です。
こんな状態でも上位グループに残るだけの対策を、来年の世界戦までに積んでおかなければなりません。

つづく。

2012年9月7日金曜日

EAC 2012 (1)


こんにちは。

昨日、EAC (European Aerobatic Champpionship)の全フライトを終えました。

多くの皆さまからのご支援をいただき、今回も非常に大きな経験を積ませていただきました。
まずは、ご支援・ご声援いただきました皆様に心より感謝申し上げます。


さて、今回のEAC、その名の通りヨーロッパ選手権なので、ヨーロピアンでない日本人は、参考成績にしかなりません。

ではなぜ参戦したか?
その目的は、自らのトレーニングは勿論ですが、メインの目的は来年アメリカで開催される世界選手権へ向けての課題の洗い出しでした。

今回は、パトリック・パリス コーチから大会の注意事項や戦略、注意点など出来る限りの情報収集を主眼においていました。

おかげで数多くのノウハウを得て、来年へ向けての準備を開始する事ができる状態となりました。

今後は主に下記の項目について、戦略の練り直しの必要性を感じています。
全てがすぐに実現出来ないかもしれませんが、チーム体制を整えて数年のうちに常勝チームを作り上げたいと思っています。

1.     操縦技術的課題
2.     チーム体制
3.     大会戦略
4.     ジャッジングの傾向
5.     トレーニングプログラム
6.     4ミニッツフリー対策

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今大会へのトレーニングは、大会会場から60kmほどの近郊にあるZilina空港で7日間にわたるキャンプを実施しました。
今年は、7月のアドバンス世界戦をメインターゲットにしていたため、アンリミテッドクラスのトレーニングは今回のみ。
時間的には非常に厳しい状態だった事は否めませんが、当初からその事はわかっていたので、ともかく出来うる限りのトレーニングを行うつもりでした。

しかし、アドバンスクラスから比べるとアンリミテッドクラスは格段に厳しく、最初の二日間は肉体的にも精神的にも一気に限界に近付いていきました・・。


3日目からスイスチームと合流。
ベテランパイロット達の中で、色々と助けられ何とか気力を回復しながらトレーニングを継続していきました。

訓練も進み毎日アンノーンの課題を互いに出し合い、毎晩シークエンスの作成と暗記とで気付くとベッドで朝を迎えている状態。
キツイながらも充実した訓練が続きました。


しかし、トレーニングが進み始めたのもつかの間、今度は機体トラブルでエンジンの始動が徐々に難しくなりはじめました。
ついには毎フライト前に一時間かけてカウリングを外し点火プラグを外して掃除をしなければならない状態に・・。

実はこの傾向は、7月から出ていて予備部品を注文しハンガリーへデリバリーされるよう手配していたのですが、日本とはお国柄が事なり、通関やらなにやらで配送が遅れに遅れて部品が手元にとどかなかったのです。
このためハンガリーのパイロットが持っていた同じ部品を借りる手配をして、部品を取りに車で走りまわり、何とか手配して翌日半日かけて修理して再度フライト可能な状態になるなど色々と試練は続きました。


しかし、大会直前の3日間は、ZILINA空港と大会会場であるDUBNICA空港を行き来してのトレーニングも実施し、いよいよ大会準備も整ってきました。


そして練習も最終日、DUBNICAへフライインする途中で今度は電気系統がOUTとなり、最終トレーニングスロットまで残り3時間で緊急修理。修理部品をフランスやドイツチームから借りるなど駆け回り何とかフライトに間合う状態でした。

大いにバタバタでしたが全ての準備を無事に終えて、大会初日のパイロットブリーフィングを迎えました。
ブリーフィングの最後に、規定演技のくじ引きが始まります。

もちろん最初に飛ぶ「No1」は、とてもとても不利なのは言うまでもありません。
昨年はまさかの「No1」で痛い目に合いました・・・・。

今回「No1」を引くとなると、6大会で3度のNo1
確立1/1万。

コーチとも「もう引かないでしょ!」なんて言ってたら、まさかまさか、またやっちゃいました。
またもや「No1」を引く事になるとは。
もはや笑うしかありません・・・。



続く。




2012年8月5日日曜日

WAAC終了


こんにちは。


多くのご支援をいただき参戦させていただいたWAAC (World Advanced Aerobatic Championship)を無事に終了しました。

最終の総合成績は、13位/81名でした。





今回の挑戦の大きな目的は「日本チーム」としての体制作りでした。
選手3名の合計点で国別対抗が争わるため、3名の選手を確保しようとしましたが、これは様々な事情により実現しませんでしたが、初めて複数である2名での参戦を果たす事ができました。


さらにチームマネージャーには、全日本曲技飛行競技会でも、チーフジャッジとして尽力いただいている高木雄一さんに協力いただきました。
高木さんは、アメリカでアクロ教官そしてIACジャッジ、さらには整備資格まで有している経験豊富な逸材で、今大会の裏側を万全に支えていただきました。
さらには、サポートスタッフとし協力いただいた方々のおかげさまで、選手として競技に専念する事ができました。
今回構築した体制は、継続して参戦しノウハウをさらに積み上げていく必要があります。
しかし、数年のうちにトップチームと肩を並べる事が出来る感触は確実に感じました。


競技は、規定(予選)、フリー、アンノーン1、アンノーン2の順番で行われ、フリー以降の3フライトの得点の合計で争われます。
今大会は、規定・フリーとフライト自体の手ごたえは悪くなかったものの、得点が伸びなやみ、非常に苦しい展開となりました。
精神的に苦しく崩れ投げ出したくなる衝動のなか、スコアーの解析を徹底的に客観的に行った結果問題が少しずつ見えてきました。
何とか持ち直して臨んだアンノーンの2フライトは、90%ほどの力を出す事ができました。


100%の力を出しても、優勝には届かなかった、というのが今回の正直な印象です。
ジャッジへの見せ方、という点で自分が気付かず使っていなかった技術をトップ選手から多く学ぶ事ができましたので、逆にこの課題をクリアすれば、表彰台はすぐ近くにあるとも感じました。
やはり曲技飛行先進諸国の持つ奥深いテクニックは、なかなかのもので深部にはまだ色々と秘策がありそうです。

  
さてこれから一旦帰国して、早速91日から開催されるEACヨーロッパ選手権に向けて準備開始です。
引き続きのご支援・ご声援よろしくお願いいたします。


                  室屋義秀

2012年7月25日水曜日

WAAC ニレジハーザ入り


こんにちは。

World Advanced Aerobatic Championship 参戦のため、17日にハンガリー入りしてから、輸送しておいた機体の輸入作業、受取、組立、エンジンシリンダー交換、テストフライトなどを3日間で終了。
作業は、世界各地のエアショーで一緒にフライトしたハンガリーの英雄、ゾルタン・べレス氏のプライベート空港を借りて行いました。


そして訓練地のMatkoに移動し、5日間のトレーニングキャンプを実施。


そして今日大会の地であるニレジハーザに到着しました。



大会へのエントリー手続きを終えて、明日はBOX内での公式練習、そして明後日26日からいよいよ大会開始です。

今回は、チームメイトの岩田パイロット、チームマネージャー兼メカニックとマルチな高木さん、さらに数名のスタッフが現地入りして例年になく心強い大会入りを迎えます。



さらに、今日は会場にユルギス・カイリス氏の姿が・・。
ルーマニアのコーチを務めるユルギスがコーチングを実施していましたが、終了するや自らの愛機スホーイ26でリトアニアに帰るとの事で、すぐに飛んで行きました。


  
皆さまの助けを借りてチーム体制も整い、存分に大会を楽しませていただく事が出来そうです!!!


                        室屋義秀


2012年6月26日火曜日

スロベニア トレーニングキャンプ終了


こんにちは。

スロベニアのMurska Sobota空港で行われたトレーニングキャンプが無事に終了しました。

 
皆様に翼を授けていただいたおかげで、素晴らしいトレーニングをさせていただきました!
今回も数多くの新たな発見がありました。
自らを駆り立てて挑戦するのは本当に面白いですね。
終わりはありそうにありません。





今回使用した機体は、Extra330SC
最新型のエクストラで、機体重量の軽減やエレベーター、エルロンのモディファイにより、非常に高度に仕上がっていて乗りやすい機体でした。

今回の課題は、Unknownと呼ばれる演技のへの対応です。
前日に与えられるフライトシークエンスを夜のうちにじっくり解析し、朝2時間ほどイメージトレーニングを繰り返して、フライトに臨みます。
4分ほどの演技ですが、途中で息があがってくるので、そんな中でいかにパフォーマンスを保つかが課題でした。
トレーニング後半には順調に仕上がって、満足な結果が得られました。
昨年から行ってきたメンタルコントロールが効果をみせ始めた感じです。

今日はこれから帰国。
早朝成田に着いたら、全日本曲技飛行競技会の準備会合やらスポンサーとのミーティングやらが待っています。

ああ、ラーメンが食べたいなー。

            室屋義秀

2012年5月16日水曜日

福島市長 表敬訪問


こんにちは。

今週末19日(土)から27日(日)まで、第二回のトレーニングキャンプが、ふくしまスカイパークで開催されます。
1998年ワールドチャンピオンのパトリック・パリス氏が再来日して行われる、世界トップレベルの訓練合宿です。
合宿直後の29日には、機体は分解してコンテナ積みされ、戦いの地であるハンガリーへ向かって輸送されます。

4月上旬から、ここ福島の空をお借りして集中トレーニングをさせていただいています。
色々と福島の皆さまにお世話になっている我々が何か役に立てる事といえば、世界各地に福島の現状を正しく知ってもらい、相当に過剰な風評被害を少なくする事ぐらいです。


そこで先日14日(月曜日)に、福島市長を訪問する時間をいただき、私たち日本代表選手の取り組みと、風評被害軽減のための意気込みを説明させていただきました。
 市長からは激励のお言葉をいただき、また福島市長からのメッセージやプレゼントを預からせていただき、ハンガリーの代表に届けさせてもらえる事になりました!

さらには、全日本曲技飛行競技会などの、ふくしまスカイパークのスカイスポーツに対する取り組みを再度説明させていただき、今後の活動についても激励をいただきました!

市長は震災後から激務が続いているとの事でしたが、『原子力災害/風評被害に特効薬は無し』と長期戦を覚悟して黙々と取り組んでいる骨太な姿がとても印象的でした。

福島市長からのアツい支援を追い風に、今週末19日から27日に行われる、第二回トレーニングキャンプに打ち込ませていただきます!


室屋義秀

2012年5月9日水曜日

岩国フレンドシップデー


こんにちは。
今年初のエアショーとなる、岩国フレンドシップデーが終了し、ふくしまスカイパークに帰投しました。

55日のフレンドシップデーは、快晴の空の下で行われ過去最高の28万人超の人で大賑わいでした!
上空から見ると人人人・・・・・、いやはやびっくりするくらいの人出でした。


さて、我々エアショーでフライトするパイロットは、当日の朝に必ずエアショー統括者(AirBoss)からパイロットブリーフィングを受けなければなりません。
そこでは、無線周波数の設定、最低高度の確認、ショーラインと言われるフライトエリアの確認、緊急時のダイバート(その他の空港への着陸設定)などなど、詳細な安全確認がされます。

パイロットの使命は、確実に安全を担保する事です。
あくまでその範疇で、お客様に楽しんでいただく事が最重要課題なのですが、ブリーフィングは、この基本を全員で再確認する事にあります。



そして、もう一つの大きな使命『フレンドシップ』。
在日米軍の主催するこのエアショーは、日本とアメリカの親善交流が大きな目的です。
普段は立ち入る事の出来ない基地を開放し、日米親善の一役に!というが、このエアショーの最大のミッション。
これを遂行するため、極力パイロットも休憩所から外に出て、多くの人とふれあって下さい!との言葉でブリーフィングは締めくくられました。

私たちパイロットが、このような大きなミッションの役に立てるのは存外の幸せです。



そしてエアショーも無事に終了!
その夜は、パイロットや関係者が集まってのアフターパーティーがささやかに行われます。
今年もブルーインパルスの皆さんと楽しく過ごさせていただきました!


                            室屋義秀


Photo:Taro IMAHARA


2012年4月24日火曜日

トレーニング開始!


こんばんは。
かなり久々のブログ更新で失礼いたします。

今シーズンの活動が本格的にスタートしました。
今年初の試みとして、日本国内でのトレーニングキャンプから始動しました。
今年の最大の目標は、AWAC(Advanced World Aerobatic Championship)への日本チームとしての参戦です。

チーム参戦の目的実現のためには、日本国内で訓練環境を整える必要がありました。
そこで、アメリカ・ロサンジェルスからエッジ540を輸送して福島に搬入する事に決定し準備を進めてきました。
日本国内でこの機体を飛ばすためには様々な手続きや許可取得に多大な労力を必要としましたが、時差もなく支援者の多い環境での訓練は、絶大な成果を残しました。
天気にも恵まれ、パイロットとしての技量は飛躍的に向上していきました。
さらに今回特筆すべき、全日本曲技飛行競技会の運営メンバーが駆け付け、ジャッジグやマネージャー業務についての研究が大いになされた事です。
世界最高水準の訓練を目の当たりにしたことで、今後の曲技飛行の安全推進や普及発展に大きな成果を得ました。

今回のキャンプの実現は、多くの皆さまのご支援により可能となりました。
特にトレーニング環境を提供していただいた、ふくしま飛行協会にはチームメンバー一同重ねて感謝いたします。
さらに、福島市をはじめ地元の皆さまのご理解・ご声援を日本チームにいただき、選手は訓練に打ち込ませていただきました。

さて今回のトレーニングキャンプ。
コーチは、フランスから招聘したパトリック・パリス氏。
1998年の世界チャンピオンです。



福島に行く事に対して、フランスでは周辺の全員が反対したそうです。
行ったら死んでしまうのでは・・・、
というのが未だに諸外国の現実のイメージのようです。
しかしパトリックは、気持ちよく私たちの要請に応えてくれました。
フランスに帰国して、福島が安全であり、多くの人々が生活している事を伝えてくれることでしょう。


そして選手。
私と岩田選手の2名が今回のキャンプに参加しました。
世界選手権への参戦には、様々なハードルがあります。
国内競技会とはケタ違いの技術レベルが必要な事は当然です。
さらにパイロット専業ではない選手は、休暇の確保、資金の確保、そして肉体的・精神的な負荷に立ち向かう勇気が必要です。
言うは易し行うは・・・などといいますが、フライトを外で見ているのと実際に飛ぶのは大違い。激しいGによるブラックアウトと戦いながら精密なコントロールを行う集中力を保つのは人間の限界を超えているかもしれません。

こんな事、なんのためにやってるのでしょうか?
他人からも、いい年して何のためにやってるの?などと聞かれる事があります。
私自身は、そこに世界選手権があり、ちっぽけな自分の努力の成果がいつの日か国益になるならこれほど嬉しい事はないと思っています。

自分自身のつたない人生経験から言うと、何かに心底真剣に打ち込んだ事で一歩一歩前進してきました。
人生を悟った気分の大人達の中庸な助言よりも自分自身を信じて、人にいい意味でも悪い意味でも『バカ』扱いされながら、のめり込んだ結果必ず『ご褒美』をいただいてほんの少し上のステージに上がってきました。

岩田選手は私より更に10歳も年上。
こうして戦うオッサン、なかなかいけてますよね。
ヨーロッパの地で、日の丸の力を浴びて頑張ります!


                    室屋義秀

2012年1月12日木曜日

2012年の目標

こんにちは。

国難であった2011年。
皆さまのおかげで無事に越す事ができ、新年を迎えることが出来ました。
改めて多くのご支援に感謝いたします。


今年の活動の指針を正月から練り上げていました。
下の二つを大きな目標としていきます。

1.世界曲技飛行選手権に「日本チーム」として参戦
2.福島の復興支援


世界曲技飛行選手権に「日本チーム」として参戦する!事を目標にします。
世界戦でのチーム得点は、各国の参加選手のうち上位3名の成績の総合で争われます。
っと言う事は、少なくとも3名の選手がいない限り点数もつかないのです。
7月末にハンガリーで行われ「World Advanced Aerobatic Championship」へのチーム参戦を目指して、準備を進めています。

過去、そして昨年の選手権では、一人での参戦で、チームワークで補える情報戦や、選手同士の技術ディスカッションなどが行えませんでした。
また、ジャッジやマネージャー等々の人材不足により、苦い思いをすると同時に「日本」が世界一となるためには、チームの編成が必須だと感じていました。

幸い、国内での曲技飛行競技会も非常に盛り上がりをみせ、多くのプロフェッショナルの協力によりレベルの高い運営を行う事が出来ています。
このグループから、有能な選手や審判などなどが育ってきていて、今回の目標設定が可能となってきました。

安全への寄与などから(社)日本航空機操縦士協会などからも高い評価をいただいている全日本曲技飛行競技会ですが、更なる発展のために実行委員の一員として、安全追求そして普及発展の活動を国内でも推進していきます。



2.福島の復興支援
福島県は、現在も非常に厳しい状況にあります。
現在も、というより事態は厳しさを増しています。
放射能問題は、長く時間のかかる戦いです。
若ければ若いほど、これらと長く生涯つき合わなければならないのが現実です。
私たち中間層は、子供たち未来の夢を提示する事が役目なのかもしれません。

そんな中、自分にはあまり出来る事は無いのですが、下記のようなプロジェクトにも協力させてもらっています。

ふくしま会議http://www.fukushima-kaigi.jp/


皆さまには、是非「ふくしま」を注視し続けていただきたいというのが、最大の希望です。


レッドブルエアレース参戦前から取材いただいている「FAUST AG」さんには、早速取材していただきました。
嬉しい限りです。


                         室屋義秀