2011年3月31日木曜日

福島市の放射線量の推移

こんにちは。

さて、明日から新年度です。
ふくしまスカイパークも、例年ですと明日からオープンですが、現在はまだ緊急態勢で被災地支援の関連機体のみの使用に限定されています。

さて、ふくしまスカイパークは福島市にあります。
飛来するパイロットも、放射線に対する緊張感を持っていらっしゃるようです。
はたして、ふくしまスカイパークは安全なのでしょうか?

現在市内で検出される放射線の元は、「ヨウ素」や「セシウム」なんだそうです。
皆さんも最近の報道でよく耳にされていると思います。
中でも「ヨウ素」の割合が多いという事はよく報道され、半減期が8日なんて言っています。

果たしてこれはホントなのか??
福島市内での放射線量を、原発事故発生時から表にしてみました。(新聞などにも無いので)

すると、あら見事。
確かに8日程度で半減していっています。
現在も観測される放射線は、3月15日06:10頃に爆発した2号機(サプレッションプール破損だとか)から放出されたものかと、勝手に推測しました。

理由は、

  • 福島市で高濃度で観測されたのが、同日の17:00頃。
  • 福島市までの距離は、61Km。
  • 毎秒9mの平均移動速度で流された。(やや速い気もしますが)
  • 毎秒1.5mの平均移動速度で流された。(上は計算間違えでした。スイマセン。)
  • その時の天気図。(下記)


なるほど、現在高い線量が計測される飯館村や福島市の方向に多く流れ込んだわけです。

しかしその後、半減期の計算通りに減ってきています。
さて、どれほど減れば元通りなのでしょうか?

福島市の平常値は、0.04マイクロシーベルト/時間との事です。

このペースだと、
4月中旬: 0.75 マイクロシーベルト/時間
4月末日: 0.16 マイクロシーベルト/時間 
5月中旬: 0.04 マイクロシーベルト/時間

という割合で減少していくと推測されます。


という事は、ゴールデンウィーク頃には、みなさんに安心して、おいでいただけるレベルになるようです。


*ちなみにふくしまスカイパークの放射線量を、パイロットの保有する線量計で計測してもらうと、すでに0.4マイクロシーベルト/時間程度だったりします。計測機材/調整などについては不勉強なので、参考情報までです。


室屋義秀

2011年3月26日土曜日

新聞記事の取材深度

こんにちは。


原発処理の長期化が予想されるようになってから、累積放射線量やSpeediの情報が報道されるようになりました。
しかし、新聞報道でさえも取材深度が浅い記事も散見されるようです。
福島市民が深い関心をもつ下記の記事と、専門家のやりとりについて記します。


毎日新聞(3/23掲載)の記事
 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発からの放射性物質の漏えいにより、福島県内を中心に大気中の放射線量が高い状態が続いている。福島県や文部科学省の測定値を毎日新聞が積算したところ、同原発の北西約65キロの福島市では14~21日の間に、日本人が1年間に浴びる自然放射線量(平均1500マイクロシーベルト)を上回る1770.7マイクロシーベルトに達した。政府は「直ちに健康には影響しない」としているが、原発事故の収束が遅れれば、「新たな手立てが必要」との指摘もある。【須田桃子、下桐実雅子、神保圭作】


全文はこちらから。
http://mainichi.jp/select/science/news/20110323k0000m040075000c.html




この記事に対するやりとりです。





皆様
今朝の毎日新聞の記事はひどいものでした。
福島市民に大きな不安を与えてしまったでしょう。
以下、毎日新聞社とのやりとりです。

またこの情報を皆様のネットワークでたくさんの知人の方にお伝えください。
新聞社も学者も無責任すぎます。
社会情勢が不安定になったほうが、記事が面白くなるとでも考えているのでしょうか。
怒りがとまりません。
東北を救うため、是非、お力をお貸しください。
私の研究室のHPもアップデートしました。

川島






 ●●●さん
本日の毎日新聞に書かれていた「ただちに健康の被害」に 関する琉球大名誉教授のコメントはひどいものでした。
何故、きちんとした放射線生物学の若手研究者に取材をしないのですか?
平時ならともかく、社会不安をあおり 風評被害を広げる役割を新聞が担うというのはどういった了見でしょうか?
御社の態度に大きな疑問が生じました。
健康の被害があると主張したいのであれば、どのような被害がどのような確率で現れるのかを根拠を持って示すべきです。
タバコによる健康被害のようにきちんとした疫学調査に基づくものではなく、明確な根拠がないことを何故きちんと伝えないのですか?
 非常にがっかりしました。
 川島


川島さん

毎日新聞社の一員として、お詫びします。
非常に恥ずかしく思っています。
川島さんのご指摘はもちろん、ほかにも下記の問題があります。
(1)1770マイクロSVは屋外での積算線量であって、実際には多くの人は
   200マイクロSV程度の被ばくであること
(2)福島県内の放射線量は、ほぼ放射性ヨウ素の減少曲線と同じように減少し
   ている(たぶん、多くが放射性ヨウ素131です)から、今後の積算線量
   はそれほど増えないであろうことを無視している
(3)イランやブラジルで自然放射線が1万マイクロSVの地域があると書きなが
   ら、そこの発がん率は他地域と違いがないということを書いていないなどなど
   です。
この間、冷静な記事を書こうと社内で訴えてきて、少し改善されたかと思っていまし
たが、甘かったと反省しています。

なお、編集局長に以下の点を知らせておきました。ご参考までに。 
 
  【福島の放射線量についての評価】

福島市の放射線量(飯館などほかの地域でも基本的に同じです)は、16日に最高値を
記録した後、一貫して減少しています。その減少曲線は、放射性ヨウ素(ヨウ素131、
半減期8日)の減少曲線とほぼ同じで、1週間で半減しています。
これの意味することは、以下の2点です。

(1)各地に飛来した放射性物質の多くは放射性ヨウ素であること
   (もしも、半減期2年のセシウム134や半減期30年のセシウム137が主体
   なら、減少曲線はなだらかになります)
(2)最後の爆発・火災(15日)以降、新たな放射性物質の飛来は少ないこと
  (もしも、かなり飛来しているなら、減少曲線はなだらかになります)

ここから言えることは、以下の点です。
(1)今後、爆発・火災がなければ、放射線量は8日後には、今の福島市=6マイクロ
   シーベルトから3マイクロシーベルト程度になります。
    被ばく量はかなり減っていきます。
(2)現在は原乳や野菜から暫定規制値を超える数値を示していますが、これは主に
    15日までの爆発・火災により飛来した放射性物質に起因しています。
今後、爆発・火災がなければ、比較的早期に規制値以下のレベルになります
 ●●●





                        室屋義秀

2011年3月23日水曜日

講演 「福島原発事故の放射線健康リスクについて」

こんにちは。


現在、放射線に関しての様々な報道がなされています。


そんな中、3月21日(月曜日)午後2時から福島テルサFTホールで、「福島原発事故の放射線健康リスクについて」の講演が、長崎大学・山下俊一教授、長崎大学・高村昇教授により行われました。
かなり詳しい解説が聞く事ができますので、一情報として提供します。


山下先生や高村先生は、チェルノブイリ原発事故にも長く携わってこられた国際的な権威だそうで、その方たちが、福島県の要請にすぐに応じて現地入りして、調査を始めたわけです。
山下先生いわく、遠く離れたところからあれこれ言うのではなく、まずまっさきに自分が現地に入って、正確な情報を提供するのだと言われたそうです。


「福島原発事故の放射線健康リスクについて」 その1



「福島原発事故の放射線健康リスクについて」 その2


                            室屋義秀

2011年3月20日日曜日

震災被災者へのご支援のお願い

このたびの東北地方太平洋沖地震にて被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。



私を含めスタッフ一同は、福島県福島市に在住していて、今回の震災に遭遇しました。
多くの方にご心配をおかけしましたが、おかげさまで関係スタッフ一同、そして飛行機格納庫など無事でありました。

未だに原発の不安などの中、生活物資・ガソリンがひっ迫し、さらに被災地の福島市にも原発周辺住民が避難してくるなど、多重多重な苦しみの中、生活再建を計るべくの努力が続いています。

さらに、津波の被害を受けた方々などの苦しみは、想像を絶すると思われ胸を痛めています。


世界各地からいただいた想いやメッセージは、私たち被災者の胸に深く届き、生活再建の糧とさせていただいています。
そして今後のさらなる復旧のためには、いましばらくの間は皆さまのご支援に頼らざる得ません。


現在の私に出来る事は、現状を広く報告させていただき支援の輪をほんの少しでも広げることだと思っています。
皆さまの温かいお気持ちに心より感謝申し上げますとともに、引き続きのご支援をお願する次第であります。


室屋義秀



東北関東大震災義援金