2013年12月6日金曜日

WAC2013  その(3)

こんにちは。
しばらく間があきましたが、(2)の続き。


201212月、レッドランド(ロサンジェルス)で開始したトレーニングは、2月のアリゾナキャンプを経て、4月にはテキサスへ2500Km を飛んでフライン。

さらに、5月・8月とテキサスでトレーニングキャンプを実施し、
10月の大会直前に8日間のキャンプを終えてWAC本番を迎えました。


これらトレーニングキャンプの合間には、国内でも自主トレーニングを実施していましたが、数多くのイベントもありとても充実した活動となりました。

4月、日本ではブライトリングジェットチームの来日の受入ハンドリング業務。
たび重なるスケジュールの変更などで忙殺されました。
5月、ブライトリングジェットチーム来日。無事にフライトを実施。


6月、レッドブルエアレース再開に向けて、スロベニアにパイロットが招集され、スーパーライセンス受給のためのクオリフィケーションキャンプに参加。無事合格。


7月、念願の複座機「エクストラ300L」の耐空検査を終了し、JASが稼働。

8月、5月のブライトリングジェットチームでフライト出来なかった、福島でのフライトを再度実現させた、Againプロジェクトを完遂。

9月、全日本曲技飛行競技会の事務局業務を実施。
大会で使用するEdge540を、スポンサーカラーに変更手配し受領。


そして、101日から最終トレーニングキャンプ開始。

順調に訓練が進みましたが、大会2日前に4ミニッツで使用するスモークポンプが故障。
急遽、機体の製造メーカーからポンプの供給先を聞き出し、電話で確認すると一つだけ在庫があるとの事。
特急宅配便を手配し受取り、大会入りする朝に交換完了。
準備万端、っと思いきやマグネットという点火系統のスイッチが切れない状態が発生。

さらに緊急修理し、大会入りする1時間前に完了し、無事に大会入りしました。
いやはや、毎度ながらなかなか色々あるもんです。

続く。


2013年10月27日日曜日

WAC2013  その(2)

WAC2013参戦に向けての準備は、昨年8月のEAC(European)参戦から始まりました。


ヨーロッパ選手権なので、結果は参考記録にしかなりませんが、今年のWACための課題を洗い出し必要なトレーニングや大会への準備事項を検証する事が大きな目的でした。

EACでは書類ミスによる自由演技の減点などを経験し(汗)、翌年にむけて大きな経験となりました。


そして大会中に、コーチのパトリックとトレーニングスケジュールについての概略を決め、2012年の12月にはトレーニングを開始する事にしました。

まずは、トレーニング時間を多く確保する事が課題でした。
そうする事により基礎に戻り一つ一つの基本技の見直しを、丁寧に始める事を可能とするためです。

この12月キャンプの一週間前には、レッドランド/ロサンジェルス入りして、ヨーロッパからコンテナで運ばれてきたEdge540を組立。

サイティングデバイスなどの課題部品の再製作などを事前に実施し、キャンプに備えました。


これと同時に、JASレッドランド校の開校準備も進め、こちらも同時日程でキャンプを実施しました。
このキャンプには、芦田博・白鳥洋平も参加。
教官はサンフランシスコから高木雄一さんが駆けつけました。


そして開校準備を手伝ってもらっていた、白鳥洋平(以後Yohey、と記します。)さんが、サンフランシスコの飛行学校での教官職を辞職し、レッドランドに移住すると突如表明。

急展開をむかえながら、ともあれキャンプそして2013年シーズンがスタートしました。


                      室屋義秀

2013年10月22日火曜日

WAC2013  その(1)

皆さまの多大なご支援のおかげで今年もWACへの挑戦をさせていただきました。
まずは無事の終了を報告させていただくとともに、ご支援に心より御礼を申し上げます。


さて、結果報告ですが以下の通りとなりました。



Final Free (4ミニッツ) 5
・規定+自由演技 31/58


このWAC参戦に向けての準備は、2012年8月のEAC (European) 参戦から始まりました。
準備の過程と結果は、次回から書かせていただきます。



昨日、ダラス/テキサスからレッドランド/ロサンジェルスまでをEdgeで飛んで帰ってきました。
向かい風が強く、7時間/2500kmほどの道のり。

旅の友は、昨年のWAACで機体をシェアした、Benjamin Freeloveです。
カリフォルニア在住のプロパイロットの先導で、好天の中をひたすら飛びます。
ニューメキシコなど、ごらんの通りの砂漠地帯を抜けて、大都会のロサンジェルスに西日も眩しくなったころに到着。


そして今日からは、一息つく間もなく、来年に向けての準備が早速スタートします。

そうです「レッドブルエアレース」がついに再開されます!!

その準備に向けてプロペラの取外しやら、打合せやら、etcでブログをゆっくり書く時間がイマイチ取れそうにないので、帰国の飛行機の中で書かせていただきます。


取り急ぎ、終了報告と御礼まで。
参戦のご支援を胸に、今日は休ませていただきます。


室屋義秀

2013年9月1日日曜日

Behind The Scenes 「みんなで大空を見上げようAgain」。

87日・8日と行われた「みんなで大空を見上げようAgain」。

快晴に恵まれ、ブライトリングジェットーチームの見事な飛行により福島県民は、大空を見上げる事ができました。

支えていただいた多くの関係各位に心より感謝いたします。


*J-sportsで放送された番組です。通常ユーチューブなどで公開される事はありませんが、J-sportsの英断により復興支援のため特別公開されています。


すでに三週間が過ぎましたが、このプロジェクの背景(余談)です。

512日の小名浜でのジェットチーム・ジャパンツアーの予定が終了し、フルディスプレイが出来なかった残念さは残りつつも、一年間準備に準備を重ねてきたフライトが無事に終了し、ホット一息ついてもいました。
人間など自然には絶対に勝てません。なのでパイロットは天気とは戦いません。
残念な一方、判断基準は正しかったとして、責務は100%終了したと感じていました。
そして、関係スタッフ一同は膨大な準備作業に疲労困憊で休暇が必要な状態でした。


そんな時に、福島市内の小学5年生から課外授業の講師としての話をいただきました。
小学3年生から毎年テーマを決めて、そのテーマに沿う人を呼んで研究しよう!というものです。

そのテーマとは;

小学3年生:Wing
自分達はどんな翼を持っているのか? 自分のいい所、得意な事など、自らを再評価して、畳んで見えない翼を開こう、というもの。

小学4年生:はばたき 
3年生で見つけたWingをどのように使えば、羽ばたき飛び上がれるのか?を研究しようというもの。震災後に行われた「光のしずくプロジェクト」に手書きポスター作製など協力するなどして、ともかく羽ばたき行動する大切さを学んだとの事。

小学5年生:Rising
そして今年のテーマがRising.
羽ばたく事を知った彼らが、空の彼方に昇っていく方法を探すというもの。

 最近の小学生はスゴイいんですね~。
この講師役は、なかなか簡単ではありません。
っと、こんなテーマをいただいて色々と考えていました。


そんな時に、ジェットチーム再飛行の話が舞い込んできました。

正直に暴露してしまうと、再度の準備は飛行許可の取得など多数の困難が予想され、裏方としては出来れば避けたい感じもあるやないや・・・。
5月にほぼ燃え尽きて、まだ回復しきっていない状態だったのです。


でも・・・、小学生のテーマに沿って考えてみると。
一年間の準備でノウハウは既に蓄積して、Wingはあるから、羽ばたいてみるか否かかァ・・・。

そこで、現場で矢面に立つ主要なスタッフに意見を聞いたところ、意外や「やりましょう!」という答えでした。


そしてみんなで再度、羽ばたいた結果、到底とび越えられない山を越えてしまいました。


そして、Rising
ジェットチームは見事にフライトを実施。
さらに、フライトの最後に震災で亡くなられた方に向けて、追悼飛行編隊(ミッシングマンフォーメション)を添えて、帰っていきました。
会場の多くの方が目を閏わせていました。

5月に叶わなかった、フルディスプレイ。
福島県民がジェットチームに感謝しつつも、その後に「やっぱりだめか~」という微妙なしこりを感じていました。
震災後の苦しい現状と戦う福島県民にとって、「やっぱり」と関連付けたくなるのは、当然かもしれません。

でも、でも、でも。
再度立ち上がって、奇跡の再来を実現した本当の英雄達。
天は見放さず好天を恵んでくれました。

このイベントを通じて「Rising」を学びました。 
奇跡を起こすヒントをいただいた県民は、これらの思いを感じて目を閏ませたのでしょう。


この小学生達がいなかったら、ジェットチーム再来の裏方は引き受けなかったかもしれません。

こんな素晴らしい教育を受けた子供たちが、日本の未来を背負ってくれれば安心ですね。


                  室屋義秀